[相談]
私は毎年、ふるさと納税を行っています。
聞くところによると、個人住民税の定額減税額のうち一部の金額については、今年度(令和6年度)ではなく来年度(令和7年度)に実施されるそうですが、それはどのような人が対象なのでしょうか。
また、令和7年度分の個人住民税について定額減税を受ける人について、その定額減税額はふるさと納税の控除額の上限額(いわゆる、限度額)に影響を及ぼすのでしょうか。教えてください。
[回答]
ご相談の内容のうち、定額減税額はふるさと納税の限度額には影響を及ぼさないこととされています。そのほか、令和7年度の個人住民税の定額減税の対象者などの詳細は、下記解説をご参照ください。
[解説]
令和6年度分の個人住民税については、納税義務者(本人)、控除対象配偶者及び扶養親族1人につき1万円を乗じた金額が、個人住民税の所得割額から控除されています。
ただし、「控除対象配偶者以外の同一生計配偶者を有する人」については、定額減税額のうち、その「控除対象配偶者以外の同一生計配偶者」に係る定額減税額(1万円)について、令和6年度分の個人住民税ではなく、令和7年度分の個人住民税から控除されることとされています。
上記1.の「控除対象配偶者以外の同一生計配偶者を有する人」とは、具体的には、下記@およびAの両方の要件を満たす人をいいます。
※1 所得が給与所得のみである場合、原則として、給与収入1,195万円超2,000万円以下である人が、合計所得金額1,000万円超1,805万円以下となります。
※2 所得が給与所得のみである場合、給与収入103万円以下である人が、合計所得金額48万円以下となります。
ふるさと納税を行った場合、所得税については、その寄附金額のうち自己負担額2,000円を除いた全額が所得から控除(所得控除)され、その結果、所得税(復興特別所得税を含みます)が軽減されます。また、個人住民税については、一定額が個人住民税から控除(税額控除)されることとなります(※3)。
なお、上記の寄附金控除等を受けるためには、原則として、ふるさと納税を行った年の翌年の3月15日までに、所轄税務署へ確定申告を行う必要があります(※4)。
※3 ただし、税額控除されるふるさと納税額には年間の控除上限額(いわゆる、限度額)があり、その限度額を超えた金額については、控除の対象とはなりません。
※4 確定申告をする必要のない給与所得者等がふるさと納税を行う場合には、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」により、確定申告を行わなくても寄附金控除を受けられる場合があります。
ふるさと納税の控除額の計算の概要は、次のとおりです。
@所得税
A個人住民税(基本分)
B個人住民税(特例分)
上記@およびAにより控除できなかった額を、Bにより全額控除(所得割額の20%を限度)します。
(注)平成25年分から令和19年分については、所得税率が0%である場合を除き、復興特別所得税を加算した率となります。
総務省によれば、令和6年度分個人住民税におけるふるさと納税の「限度額」の計算の基礎となる金額については、その金額を定額減税「後」の所得割額の2割とすると、ふるさと納税の限度額が引き下がり、令和5年中にすでにふるさと納税を行った人に意図せざる不利益が生じる可能性があることから、地方税法において定額減税「前」の所得割額の2割とする特例が設けられています。
また、令和7年度分の個人住民税については、上記の特例は設けられていないものの、ふるさと納税に関する地方税法の各種規定により、令和6年度分と同様の取扱いとなることとされています。
したがって、令和7年度分のふるさと納税の限度額についても、定額減税を適用する前の個人住民税所得割額がその算定の基礎となることから、定額減税の適用はふるさと納税の限度額には影響を及ぼさないこととなります。
[参考]
所法78、地方税法37の2、314の7、附則5の8、5の12、7、7の2、総務省「個人住民税の定額減税に係るQ&A集(令和6年10月21日改訂)(第3版)」など